なんていうかね あのゴリラがメスゴリラもといお妙に御執心なのは誰の目から見ても明らかで。そんな訳だからお妙以外の人間なんぞはこれぽっちも恋愛対象として意識なんてしてないのは分かってるつもりなんだけど、そんな周囲の葛藤をまるで知ったこっちゃないあちらさんは悪戯に人様を掻き乱すことがお得意らしく随分と罪なことをすると苛立ったりするわけですよ。他意はないだろうけどそれが捻くれ者の銀さんにとってはありありで意味深に感じてしまうんだから どっちもどっちなのかなぁとは想うんだけどね。勝手に期待するほうも期待されるほうも迷惑この上ないお話で、結局どちらも馬鹿なんだろうなぁって結論に達してしまうわけですなんてしみじみと浸っているのは、「万事屋には何だかんだ云っていつも世話になってるからな。感謝の気持ち受け取ってくれよ」だなんてゴリラが笑顔でチョコレートを渡してくるもんだから(またその笑顔が可愛いんだわ 腹が立つくらいに!銀さんの脳味噌腐りきっているとしか想えないよね もう)こんな日に渡すか普通って内心ドギマギしている恰好悪いところなんて悟らせたくない一心でいつもの如くのらりくらりと交わしたけれど!後々冷静になって考えてみると、妙に気合の入った若干歪な形のチョコだとか、妙に凝ったラッピングだとか、義理と云ってるわりには一生懸命造りました的な手作り臭がぷんぷんするそれだったりとか負に堕ちない点が いくつか。一手間も二手間もかけたのが見て取れて義理立てするのにここまでするんでしょうかといらぬ勘ぐりなんてものをしたくもなるでしょ。あの大きな身体を丸めながら不器用そうに見えて存外器用な手先で造ったのかなぁなんて考えるだけで、ゴリラのくせに愛おしさを覚えさせるから男って云うのは何処まで都合よく生きる現金な野郎なんだろうかと嘆きたくもなるわけ。どうであいつのことだから、真撰組の隊士全員分に日頃お世話になっている輩の分をプラスして、一日中台所に引き篭もりながらはりきってつくったんだろう。いくら高給取りだからってお前何人分造ってどんだけ金と時間をかけてんだよと突っ込みたくもなる。安いチョコを買ってお手軽に済ませたってゴリラ馬鹿の集いで結成されている連中にとっちゃあ感涙ものだってのに なんでまた手作り?いや そりゃあ惚れている相手から手作りのチョコ貰えて嬉しいけど、多串君やら総一郎君やらジミーやらハゲなんかと同列というのが頂けない。嬉しいけど嬉しくない。そんでもってお妙の分はより一層気合と愛情を混めて作ったんだろうよ その差がをリアルに想像出来てむかつく。だから難癖つけてあんなゴリラの手作りチョコレートなんぞ貰っても、ちっとも嬉しくも何ともないんだってのって云い聞かせているのに自然と弧を描く口元が腹立たしい。銀さんってば実は安上がりな人間なのかなぁ。それでも愛されているなぁて想えたら自然と怒る気力が失せちまったわけですよ 本当に卑怯だよあのゴリラ。大きなハート形のチョコの上に『いつもありがとう』だなんて可愛らしくデコレーションされていてどんだけ 凝り性?もうすぐ三十路のくせしてどっかの乙女かよ盛大にと突っ込んだけど、そんなチョコ貰ってうろたえている銀さんも傍から見たら乙女に代わりないわけで。嗚呼 ゴリラのくせになんてことをしてくさったんだ!ホワイトデーは覚えていやがれと形ばかり憤ってみるけれど、鏡を見ずとも分かるぐらいだらしなく緩んだ目元とか鼻の下だとかその他諸々に情けなくもなる。とりあえず勿体なさすぎてチョコ食べられない っての!
バレンタインデー回想録(20100216)
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