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胸焼けするんじゃないですかっていうくらいの 甘ったるさ。じわりじわりと脅かすように忍び寄る苛立ちと鼻腔を付く甘さは、恐ろしいほど甘美な誘惑に等しい。ゴリラのくせして妙なところで鋭いってのに肝心なことに関して天然記念物並みの鈍さを発揮する鈍感の頂点を極めつつあるあの人は、自分の恋を追いかけることに必死になりすぎて人様の恋情模様に全くと云っても過言ではないくらいに気づいちゃあくれない。あの人を慕い集い輩は膨れ上がるばかりでいつだって周りは耐える以外の選択肢を望めない理不尽さをいい加減自覚して欲しい。なぁ アンタはさ懐に大量の爆弾抱えているようなもんなんだよ。いつ引火してもおかしくないそれを大事に大事に懐に抱え込んでいる。信じられないと想うなら試しに振動のひとつでも与えてみな。簡単に暴発するからよ。そんでもってひとつで暴発したなら後はなし崩し的に相互作用して 大爆発。アンタ気づいちゃあいないんだろけれど、俺達はアンタが不用意に与える隙を狙って爆発する時を待っている状態って云ったほうが分かりやすいか?恐ろしいほどの張り詰めた均衡状態の上で逆立ちしているようなもんなんだよ。そんなだから行く末なんてものはどこぞの占い師じゃなくても簡単に予言出来るわな。行き場を失った情が爆発したとき痛い目を見るのはアンタなんだぞと忠告とひとつでもした方がいいのだろうか想う一方で、それだけアンタにたいして募らせてきた情を分からせてやりたい想い知ればいいとさえ願う自分もいるのだから救われようがない。云い訳じみているけど、やばいと焦ってブレーキをかけようにも止められねぇもんは止められねぇのが世の摂理って奴なんだよ。とんでもない野郎ばかりを惹きつけちまうアンタの情の深さや懐の大きさって奴にさ、時々同情する。愛しいのに愛し過ぎて哀れって云うか可哀想にも想うよ。そんなこんなで 二月。この月は一年で一番きっちりとあの人が仕事をする月でもあり、もしかしたら一年で一番気合を入れる月であるんじゃないかとも想う。聞いて驚くことなかれ!あれだけ苦手とし事あるごとにスケープゴートするデスクワークを不備ひとつなく納期以内にきっちりと収めるばかりか、人が変わったように率先してテキパキと仕事をこなすのだ。信じられないが・・あの・・・・あの近藤さんが だ。仕事をきっちりこなしてくれるのは有難いけれど、いつもみたいに馬鹿ばかりやって「トシィィ~~!」と助けを求めて泣きついてくるあの人が可愛くてしょうがない俺にとっては不満も苛立ちも大きく実は二月の近藤さんが少しだけ苦手だったりする。理由を知ったら誰もがあの人らしいと笑みを浮かべるだろうけどその理由が嬉しいのに面白くないのでいつでも一生懸命なあの人にたいして可愛いなぁと笑みを浮かべることが出来ないでいる。
いつから恒例になったのか。あれは確か真撰組を結成したはじめての年のバレンタインデーに、日頃の感謝を込めてと冗談に混じりに手渡したそれが始まりだったように想う。年齢など関係なく世の男共が浮き立つその日に局長自ら手作りしたチョコレートを隊員全員に配ったのだが、それが想いの他大好評でチョコを貰った隊士以上に嬉しそうな顔をする近藤さんが印象的だったことを覚えている。たぶんそれがはじまりだ。あれから年を重ねるごとに増える隊員に比例して近藤さんがかける手間も増えるばかりなのに、それを嬉々としながら深夜の台所を占領し黙々とチョコを作る姿が黙認されている有様で。あの人は誰かの期待に答えようと一生懸命になるあまり方向性を見失いがちなのだが、このイベントに関してもそれは見事に発揮されいつも以上の乙女になっている(まぁ そんな近藤さんも可愛いんだけど。可愛いんだけどそれが俺限定でないことが憎らしいので、可愛さ余って憎さ百倍とか何とかという心境に非常に近い)計画性のない近藤さんが二月に入るとスイッチが入ったように人間が入れ替わり、本格的に始動するわけだが当然の如く机の上を埋め尽くす紙の山は見当たらない。・・・が、その代わりと云っては何だが赤やピンクで丁重された本やら、愛らしいラッピングが山のように詰まれているばかりかメッセージカードやら何やらその他諸々が机を占拠している。もうなんて云うかもうすぐ三十路のおっさんの癖してこの徹底振りにはいつも舌を巻き本当にどこぞの乙女かと頭が痛い。そもそも一般的にバレンタインデーは女が男にチョコを渡すイベントであることを忘れてはいまいか?気に喰わないが、「お妙さんからチョコ貰えるかな」とそわそわするのがいうのが普通であって、「お妙さんチョコ受け取ってくれるかな」と心配する時点で、近藤さん アンタ既に間違っているよ。一生懸命になりすぎて本質を見失っている。その情熱というか熱意を二月以外の近藤さんに分けて欲しいと、ちらりと想うこともあるけれどやっぱり俺がいないと困ったちゃんな近藤さんであって欲しいとも想う。欲張りで我侭である自覚はあるが、あの人に関する欲を捨て去ることなんて出来やしないんだから一生このままなんだろう。本当に色んな意味で 頭が痛い。
そんなこんなで二月になると近藤さんばかりか隊士もみな浮き立ってくる。あの人を慕う輩は揃いも揃ってあの人の手作りチョコを心待ちにしている。(まぁ・・俺も楽しみにしている輩の一人なんだけど)二月十四日、男の中の男である近藤さんが一年で一番可憐な乙女になる、俺にとっちゃあ愛しいようで憎らしいそんな日であもるわけだ。





バレンタインデー回想録(20100218)