多分、可哀想なものが大好きなのだ。可哀想だと、相手に対して優越に浸るその瞬間が、たまらなく好きなのだろう。
それは、云い換えれば情けをかけた相手に対して、絶対者であることが出来るからだ。支配をするのではなく、寛容するでも共感するのでもなく、ただ単に哀れなものに対する執着が人一倍強いが故に、それを具現化した存在が愛おしくてならないのかもしれないと正守は、考える。選ばれなかったことを憤慨しつつも、選ばれなかったことに歓喜する矛盾でさえも、全ては良守が生まれたその日からはじまったことで、良守が死ぬその瞬間まで続いてゆくのであろう葛藤でさえ恐ろしく心地の良いものなのだと錯覚させる全て、は。終わりも始まりも弟に由来する。故に、繋がりこそが、正守を狂わせるのかもしれない。
誰も好き好んで歪んだわけではなく、それに至るまでに理由があるように、正守の世界を歪ませたのは『弟』という血肉を分けた存在なのだ、というそんなくだらない、お話。
その繋がりがこそ、が(20091219)