いっそ アンタを閉じ込めてしまたい。アンタを喰い殺す夢を見る。筋肉を噛み千切って、艶のある肌に痕をつけて咀嚼して飲み込んで。せめて夢の中でぐらいとアンタを愛でているつもりが気づけば殺意という名の衝動のままアンタを喰らい尽くそうとしている有様なのだから己の執着の在り方が恐ろしいようで甘美でもあり酷く酔い痴れてしまう。散らばったそれから愛が零れて夢の中でさえアンタを繋ぎとめて置けない根の深さに時として眩暈すら覚えるが、それでも例え夢の中だろうが妄想だろうが穢れを知らないアンタはいつだって美しいままなのだ。例えばの話、俺がいないと呼吸すら出来ないほどにアンタを支配し束縛するとする。それでも、それでもだ。アンタの尊厳を踏みにじってこれでもかと辱めたところで何事もなかったかのようにアンタは「トシ」と笑って俺を追い詰めるのだろう。アンタの声は、俺を、俺の想いを、俺という人格すらも容易く殺めるのだろう。故に、愛しさのあまり鼓動が動きを止めようが、恋しさのあまり心臓が破裂しようがそれでもアンタを振り向かせることの出来ない俺は結局のこと何処までいっても憎らしさを捨てきれはしないのだ。閉じ込めたところで、愛を欲したところでアンタを想えば想うほどにのめり込む情動を時は止めてはくれない。なのに膨れ上がるばかりの愛は只管にアンタへの執着を囁き続ける。嗚呼いっそ。いっそ 閉じ込められるのが噛み殺されるのがアンタではなく俺であったなら。そうであったのならば、例え夢の話であっても太陽のようなアンタを美しいまま崇拝し愛することが出来たのだろうか?(殺意と愛を天秤にかけ傾いた答えを果たして 不変と呼べただろうか)
この誘惑は児戯にも似ている(20100221)
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