まるで 境界線だ。当たり前だと差し伸べる手を当たり前のように掴みきれない自分と、それでもと差し伸べ続ける近藤との境は決して踏み入ることの出来ぬ境界線を見事に描ききっている。交わらない。故に、その手を掴める日など訪れる筈がないのだと理解しながらそれでもと捨てきれない執着は未練のように桂を蝕んでは立場が違えばあの手を掴めたのだろうかと、出逢いが早ければ望めたのだろうかと否定できない可能性に女々しくも縋りつかせようともする。得られないものを知った時、初めて人は貪欲になるのだろうか。それとも喪失を理解した瞬間に初めて求める意味を知るのだろうか。どちらにしろ敵対する限り描き出した境界線を越えることなど望める筈もないことだけは確かなのだという事実が桂にとっては天変地異がおきようとも変わらぬ現実なので ある。
もとめるほどにうしなうよ(かなしいね ねがいつづけるこのゆびではなにもつかめはしないんだね)(20100221)