貴方は私を置いていくのですね。私は貴方に置いていかれるのですね。男であったらなら対等であれたのでしょうか。強い身体であれば強い私であったなら貴方を追いかける夢も叶ったのでしょうか。あるいは、曖昧な線引きを上書きすることでより克明にその名を描くことが出来たのでしょうか。祈りは遠く尽きぬ願いは狂おしいまでに心臓を振るわせます。なのに貴方を想って高鳴る心音はそれでも貴方に届きはしないのです。ねぇ 近藤さん、貴方も私も知っていましたね。素知らぬ振りをし続けたところで平行線を辿るばかりの関係は結局何も変わりはしないことを。今更足掻いたところで何も変わりはしないことを理解ながら焦がれ続ける意味を。それでも私達は何も生み出さない答えを求めていただけなんですよね。それを愚かと呼ぶのか分からないまま、この先も貴方を縛れなかった私の糸は貴方への執着を紡いでいくのでしょう。それが 哀しいだけ。切ないだけ。ただ ただ 狂おしいだけ。ねぇ 近藤さん私達の赤い糸はどこまでいっても交わらない運命でした。分岐点を探して選択の良し悪しを考察する、まるで結果を知る物語を丹念に読み解く作業に似ています。それでも私は通り過ぎてしまった過去を見送りながらも断ち切ることの出来ぬこの糸に私は縛られていたいのです。(この糸は 唯一貴方との繋がり証明するものだからです。)





何も縛れない糸です(ならば せめて 貴方の倖せを願える糸であれますように)(20100317)