緩やかに首を這う指は繊細でありながらも確実に急所を捉えている。不自然な距離と不可解な行動によりスグルの動きを封じることに成功したテリーの手の中で、読んで字の如く力を込めた瞬間に命をもぎ取る事の可能であるこの現状をテリー自身どれほどまでに恋焦がれ待ち焦がれていたのかを理解出来ないままあの世とこの世の境目でひとりスグルは孤独に彷徨うのだろう。欲し続け求め続け挙句の果てに羨望し続けながら結局掴めなやしなかった命を握っている現実が齎す静かな熱意は興奮へと姿を変えやがてテリーを形成する細胞のひとつまでを飲み込んで貪欲に成長し、やがては思慕が殺意へと名を変え矛盾と云う名の変革を 掲げる。命の崩壊はスグルへの愛を恋い慕う。なんと麗しき 鮮烈!
わたしが喰らう 命(愛に毒される心臓を命の対価をもって支払うことの甘美な誘惑に ついて)(20100327)