その強さが俺様を否定して深まるばかりの溝を埋めようと躍起になるから空振ってしまう。どこまでいっても誰かと分かり合えっこなんてないんだよって知ってる癖に、いつから腹の底から真っ直ぐにしか生きられない赤い子供の可能性に賭けてみたくなってしまったんだろうかね。わかんないけど、わかんないけど共に旅をしてきて、あの子供の幼稚な正義を感じて、あの子供の言葉に救われて、隠そうともしない弱さに苛立って、無防備なあの子供の琴線に触れてしまったりして、それに感化されちゃったのかな。それともあの子供が恐ろしいほどに素直過ぎて、裏切られるビジョンを想像出来ないから信じられるって想っちゃったのかな。(そんな建前なんて、嘘。本当は理由を知っているくせに俺様はずるいからいつまでたっても分からない振りを続けるんだ。だって、ピエロはピエロとしてでしか生きられないだろう?それを選んだのは俺様で、それを望んだのもまた俺様で。それが俺様である以上、俺様は俺様の意思を貫き通さなきゃならない。例え、その道がどんなに険しかろうが苦しもうが傷つこうが、ね。せめてもの俺様が守り通したプライドでありたいんだよ。本当にくだらない、でもねそのくだらなさが俺様を救うんだ。)ロイド君はいつでも選択を誤らない。だからかな。正しいからこそ卑怯に染まった俺様には彼の一挙一動が輝いて見るのかもしれない。あの声に、笑顔に、笑って呼ぶ自分の名前の響きに、彼を構成する全てに惹きつけられてやまないのかもしれない。ロイド君の瞳に俺様の影が映るたびに、彼の双方に宿る強さが俺を否定し続け何処まで行っても追い求め続ける渇望は永遠に終わらないままなんだろう。嗚呼と今更唸ったところで、掴めたものなんて あまりにも 少ないのに、ね。
抉るのは 傷だけで(ポトリ、と 哀しい音が木霊しました)(20100619)
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