愛しているから何も出来ない自分が赦せないのでしょう。愛してしまったから泣けない彼等の代わりにこんなにも泣き出してしまいたいのでしょう。倖せになろうともがく彼等の帰りを待つこと出来ないこの身体では彼等の苦悩を救える筈もなくて、無力すぎる私の瞳は彼等の哀しみを記録し彼等の軌跡を見つめ続ける為に存在するしかないのです。倖せになって。どうか、傷つきすぎた彼等が誰よりも倖せを掴んで欲しい。なのに、願えば願うほどに無慈悲な現実が彼等を追い詰める。どこにも帰れないまま磨り減るばかりの彼等の安らぎは何処にあるのでしょうか。痛みばかりを抱え込むその手に望める休息は?温もりは?未来は?嗚呼まるで。子供であった彼等が捨て去ってしまった唯一子供で在れたあの時間を求めるばかりに一歩も進めない彼等は、美しく甘い記憶に縋りつきながら足踏みしたままあの日の延長線上に立ち尽くしているみたい。帰り方を忘れてしまった迷子 みたい。そんな彼等に差し出す手に、差し出される手に、どうか幾許の赦しを与えて下さいますように。淋しがりやの彼等を愛して下さいますように。そう願い続ける女の慈悲が、どうか。神様 親愛なる貴方に届きますように。(祈りしか知らぬ愚かな女に無慈悲な罰をお与え下さいますように。)





祈りの先に、罰(20100622)