言葉などなくなってしまえばいい。何度も捨てたはずの願いをより一層強く念じてしまうのは、男の零した言の葉に踊らされている自分を自覚しているからだ。記憶を消し去りたい。それが出来ないのであれば何も信じないと誓ったはずの脳味噌をたった一言で揺さぶるその言葉を奪い去ってしまいたい。言葉を紡ぐ口を切り裂いて羅列すら破棄したところで漆黒に輝くその眼球が、体温に近い声色が高杉の心臓を掻き乱すのだろう。支配しているつもりが気づけば意味を持たないはずの音に支配されている。たった数文字の羅列が真綿で首を絞めるように高杉の世界を侵蝕し、心地よい支配は衝動から理性を奪う。言葉などいらない。なくなってしまえばいい。獣は言葉は必要としないのだから。故に、自由なまま貪りあう衝動に知性を制約する必然性がどこに ある?(本能であなたを愛せます)





壊れる世界は あと いくつ?(20100709)
*監禁ネタっぽい感じ(?)