「怪我をすれば視覚的に痛みは伝わるのに心の傷は見えないから厄介なんです。
いくら哀しいと苦しいと伝えたところで、同じ痛みを知る者にしかその辛さを理解出来ないのだから。
この空虚さを、喪失感を、理解して貰えないのですから ね。
クロウリー 貴方は愛しい人を失いましたね。
僕も、ね。大切な人を失いました。一番大好きな 人を。
大切だったのに、この人を失ったら生きてはゆけないと盲信するほどに大切な人であったのに。なのに。
あの人のいない世界で僕等は生きている。無理やりにこじつけた理由を糧に、ね。
嗚呼 そんな顔をしないで下さい。貴方を苦しめたいわけでも責めている訳でもないんです。
ただね、僕がこうして貴方の傷を抉ったように僕の傷も抉って欲しかっただけなんです。何故って?
さぁ 何故でしょう?でも・・・そうですね。罰が・・・欲しかった。同じ傷を持つ者に罰を与えて 欲しかった。
傷ついている僕等がこれ以上 傷つく理由なんて、きっと、それ以外の意味なんてありませんよ。
ねぇ そう想いませんか?僕等の痛みは似通っています。同じ苦しみを知っているからこそ互いを断罪することが出来る。
僕等のエゴが僕等を裁くんです。素敵だと想いませんか?この傷がある限り、僕等は共犯者ですからね。

ねぇ、クロウリー。御揃いの 傷ですね。」





美しい貴方に描く為の 傷(20110219)