何度繰り返しても分かりあえないね。いつも一緒。いつも同じ。いつも、貴方を失う。
生きてて欲しいって想うのはきっと私のエゴで、武士として散るのも貴方のエゴ。勝負に勝っても貴方のエゴに負かされるんじゃ意味がないのに何にも変わらない。決まって、訪れるのは同じ定めで貴方のいない 運命。泣かないよ。貴方との勝負に勝つまで私は泣くつもりはないよ。でもね、こんな風に暑い夏の熊野にいると、何でだろう。暑さのせいにして無性に泣いてしまいたくなる。蝉が煩くて、馬鹿みたいに暑くて、私の名を呼ばないくせに貴方が少しだけ優しいから。だからね、きっと。海鳴りみたいに木霊する音の洪水に、貴方を沈めてしまいたく なる。
夏に躓く(望美と知盛 20110224/アンナアベル)