例えばと過程する。例えば、今の俺があの日に戻れたとしたならば、俺は彼を救えただろうか。彼の命を彼の為に繋ぐことが出来ただろうか。彼の夢の隣に立つことは赦されただろうか。届くことのなかった右手でザックスを抱きしめることが出来ただろうか。彼と共に生きる。そんな、夢のような倖福を望めただろうか。叶う筈のない「もしも」の話を想定することは無意味で、「たら」「れば」で繋ぐ過程の物語はいとも簡単に俺の希望を踏みにじることを知りながらそれでも置き去りにしたあの日に、今もなお焦がれ続けている。なぁ ザックス。そんな俺を見たら「しょうがない奴だな」ってあんたは笑うだろうけど。こんな俺を赦してくれるのだろうけれども。嗚呼、それでもね。俺は後悔している。どうしようにもなく後悔 しているよ。託されたあんたの誇りを何も残せなかったあの日に 置いてきてしまうくらいには。





繋いだ手を切り捨てて(クラウドとザックス 20110301/アンナアベル)