空回ることの滑稽さ。無垢な瞳を覗きこんでもその瞳にいささかの艶さえも見えないのだから肩すかしもいいところ。そうだね。私は彼女ほど鈍くはないのだから、残念なことに御姫様に私の必死さが少しも伝わってないことくらいはわかってるつもりだよ。何もかもを手中に収めてきたこの私がたったひとりの娘に振り回されるだなんて ね。思い通りにならないことなんてそうはないからかな。非合理すぎて いっそ 清々しい。ねぇ ゆきくん。いずれは月に帰るかぐやの 君。私は君の八葉に選ばれたことを誇りに想う。月並みな言葉しか云えないけれども君の祝福を願っているよ。出来るのなら、この先の私の居場所が君の隣であれたらいいのだけれども、ないものねだりで我儘を乞うような年齢でもないのだから、そう 多くは願わない。ただ、美しくあって。花の綻びに触れることが出来ないことが無念ではあるけれども、どうか。その優しさを失わないでいてね。
想いは届きませんでした。ならば、願いは響きますか。(小松とゆき 20110505)