「泣きたいのなら、サビを呼んで下さい。ひとりで泣かないと、『約束』して下さい。」
お願いです、サビの我侭をお許し下さい 善透様、と。時々、感情の制御が上手く出来ずに泣きたい衝動に駆られる善透を差し置いて、希うサビ丸の方が、今にも泣き出さんばかり。これでは、どっちが慰めようとして慰められているのかなんて分かったもんじゃないと憤慨しつつも、サビ丸と交わす些細な誓約が増えるたびに、哀しいのか苦しいのか、認めたくはないが嬉しいのか、泣きたくなるだ、なんて。そんなこと。いつだって、サビ丸は善透の全てを暴こうとして、善透もそんな彼の暴走を感受してしまいがちな自覚があるからこそ、何でもかんでも知りたがりの彼に、知らなくったっていいこともあるのだと云ってやりたい。結局のこと、そういうことなのだ。サビ丸の我侭と彼は云うが、本当は善透の我侭であることを、彼にだけは知らない振りをしたままでいて欲しいのだ。





お前がいないと、淋しいよ(淋しすぎて。都合がよかった筈の大人の振りなんて、忘れてしまったよ)(20091223)