「貴方が、倖せでありますように。世界中の誰よりも、貴方が、倖せあれますように。
貴方がサビに与えてくれるものは有限なのに、サビが貴方の為に出来ることなんて、体を張ることぐらいしかないんです。ならば、せめて。誰よりも。貴方の、お父上よりも。貴方の倖せを、一番に願わせて下さい。貴方の安らぎを、一番に祈らせて下さい。」
貴方が倖せであるのなら、サビにとってこれ以上の倖福なんて、ないのです、と。善透に語りかけるサビ丸のそれは、とても、優しすぎて、善透は涙が溢れ出る衝動を抑えることに、全神経を集中させている。嗚呼、まるで。誰もが平等に与えられる筈の、誰かの為の祈りを、今この瞬間だけは善透が独り占めしてるみたいだ。(自分の為に祈る倖せよりも、誰かの為に祈るそれとは。何故に、こんなにも、心揺さぶるような愛おしさを孕んでいるのだろう、か。)
倖せのお裾分けです(20091225)