喜怒哀楽の激しいあの人はいつだって感情豊かで、そんなあの人に触発されたように総ちゃんも私もよく笑っていた。嬉しい時も楽しい時も哀しい時も時間を分け合ったのはあの人とだった。総ちゃんにとっても私にとっても大切な人はいつだって大きく暖かい身体で全てを抱えてしまう。どんな辛いことがあっても大丈夫だと笑い飛ばしてしまう豪快さと人一倍涙もろい繊細さを併せ持った優しい人。今だから想うのかもしれない。もしかしたら、三人で過ごしたあの時間が一番綺麗で倖せな時間だったのかもしれない、なんて。だからこんな馬鹿みたいな夢物語を想ってしまうのかしら。あの人と総ちゃんと私と三人で本当の家族になるそんな倖せで哀しい夢を。ねぇ もし十四郎さんが現れなければ、あの人と恋におちることが出来たのかしら?
あの人達が去った 今。私は、時折 そんなことを考える。
蜂蜜(20120202)