彼女もまた天の邪鬼なのだ。僕と同じで好きなものを好きと云えないへそ曲がり。大事なものを前にすると呆れるくらいに素っ気ない態度をとってしまう。だから、いつまでたっても素直になれず可愛げのない女だと云われてしまうんだ。でもね、もしかしたらそんな不器用さをあの男は知っていて、だからこそあんな馬鹿げた行動をとるのかもしれないと想うのは僕の勘違いなのかな。ねぇ 妙ちゃん。僕は知ってるよ。口では嫌がる素振りをみせてはいるが、あの男の言葉が本当はとても嬉しいのだろう?真っ直ぐな感情に心が揺らいで傾きそうになるのだろう?依存することが怖い?そうだね。君と僕は似ているから、その怖さはなんとなくだけど分かるよ。あいまいな感情に惑わされて弱さを露呈する馬鹿な女に成り下がりたくない。でもね、言葉にしないといつか失っていまう。形にしないと人は分かりあえないよ。大切なものであればあるほど自分から遠のいてしまうことを僕は知っている。それは、他でもない君が教えてくれたことじゃないか。ねぇ 妙ちゃん。たまには強がりを忘れてもいいんじゃないかな?嬉しい時には笑って哀しい時は泣いて怒ればいい。あの男は君の全てを受け止めるよ。君の弱さもずるさも儚さも、脆さも。どうしようにもないくらい馬鹿みたいな 笑顔で。





だから わらって(20120204)