「虫唾が、走る。」
聞き間違いだろうかと辺りを見回すが、自分と千歳しかいない控え室で自分達以外の誰かを見つけることは、難しい。今の言葉を発したのは、自分ではないことは確かである。では。ならば。幻聴でないのであれば、声の主は目前にいる彼しかあり得ないではないかと、ずいぶんと物騒な言葉が温厚な千歳の唇から零れ落ちたことに驚きを隠せずにいる蔵之介に対して、少しばかりに意地の悪い笑みを浮かべた千歳は鬱憤を晴らすかのように言葉を続ける。「憎らしか男ね、桔平は。何がって顔やね白石。右目ばい。右目。あいつ、わざと右目でボール受けたばい。あれで帳消しになったとは想ってなかとぐらいは理解しちょるけど、憎らしかとよ。当たり前のように受け入れた桔平も。同じ場所に傷を負っていい気味だと想った俺も。両方とも 憎らしか。」これでは、最低はどっちかなんてわかったものではない、と嘆く千歳は前提から間違っていることに気づいていないのではないかと蔵之介は想う。
YES、も。NO、も。是、も。非、も。橘の全てを握っているのは誰なのかということ、を。
執着のあまり、友情を超越してしまった事実ですら何かと言葉を濁し受け入れようとしない千歳のことだ。
彼にはじめから選択権などないことなど、もしかしたら盲目のあまり忘れているのかもしれない、が。
誰のものでもない人を誰かのものだと勘違いをしている(20091231)
*千歳の言葉は適当。話し方が難しすぎてわからない(汗)そして、話の方向性もおかいしいことに。
修正すべきなのですが、とりあえずこのままup。時間がある時にでも直したいと想います。
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