「いつまで、桔平を独り占めできるとね」
最近の千歳はスキンシップ多可で、日常茶飯事であるさりげない接触に抱擁がプラスされた。じゃれ付くように頭一つ分もでかい長身が覆いかぶさってくる様は、鬱陶しさに加えて暑苦しさ以外の何者でもなく「やめろ」「離せ」とその度に忠告するのだが、解放されることは一度たりともなく。結局は、一向に聞く耳を持たない千歳の我侭を赦し助長させてしまう結果となってしまっている。そんなこんなで千歳の我侭をずるずると赦してしきた桔平だったが、やたらと近くに感じる千歳の存在に自分達は距離感がおかしくないだろうか、何か間違ってやしないだろうかと想い始める様になってきたのだ。いくら仲が良い親友だからとて、境界線ぐらいはっきりさせておくべきだと主張するも、「そんなの関係ないばい」とあっけらかんな千歳はやめようとしないどころか、意固地になってか何なのか、更に酷い有様に発展し四六時中べったりな状態が此処幾日も続いている。(周囲からは当然のように白い目で見られている。「勘弁してくれ」と頭を下げても「知らんばい」の一言で一蹴され堂々巡りもいいところだ。)「桔平は、よぼよぼのじいさんになるまで俺の傍におったらいいとね!」と嬉しそうに微笑む千歳を見ているうちに、躍起になっている自分が馬鹿らしくなりどうでもよくなってきた(面倒くさくなったとも、いう)桔平は、仕舞いには抱擁の感受にまで至ってしまった。結局のこと、千歳の言動をいくら否定しようが最後には肯定しまうわけなのだから「そんなに独り占めしたいんだったら、手放さなければよか」と言葉を付け加え千歳を綻ばせることまで云う 有様で。そんなだから、桔平は自分で自分の首を絞めていることにいつまでたっても気づけないのだ。





おれのものです(20091231)