口には出さないけれど、も。
あの頃より「ありがとう」を上手く伝えられる様になりました。
心配される喜びを、心配する慈しみを、甘受というものを知りました。
心臓が蕩けそうなほどに暖かい魔法の言葉を。「ただいま」と、「おかえりなさい」と、交わす言葉を覚えました。
募る愛しさを。焦がれる恋しさを。あの人の優しさに感化されるたびに、あの人の為に、ちっぽけな優しさを送りたくなります。
口には出さないけれど、も。この想いは誰にも告げずに墓までもっていくつもりだけれど、も。あの人より小さな手では、あの人の願いを、祈りを、掴めないのかもしれないけれ、ど。それでも。
あの人の倖せを願える今日という日を、愛しく想うのです。
それを名付けるのなら、恋で、愛です。(20100101)