あんなゴリラを崇拝するだなんて真撰組って集団は呆れるくらいの馬鹿野郎な集まりなんだなと想っていた出逢った当初をこんなにも懐かしく想ってしまうのは、自分もまた近藤というゴリラに毒された一人だからなのだろう。そう想うとただでさえ塞ぎがちな気分が急降下し、一体どこまでおちれば気が済むんだよとまるで他人事のように自分自身を傍観する自分に気づき更に落ち込む。そんなこんなで何をやっているんだろうなぁとぼんやりとする銀時に、今、一番逢いたくない人間が声をかけてくるもんだから、これだから世間様ってのは狭くて困るんだと悪態のひとつでもつきたくなるのが心情ってもんでしょうよ。
「よぉ、元気ないな銀時。何かあったのか?」
暢気に間延びした声色が腹立たしくて、てめぇのことばっか考えちまうから夜もろくに眠れやしねぇんだよと噛み付きたくなったがそんなことを云っても鈍感ゴリラは察せないに違いない。何が?と黙っていれば男前なそれを愛嬌たっぷりに綻ばせやがって可愛いったら・・っておい!何を考えているんだ!しっかりしろ!と頭を振ること、数回。突如、頭を左右に振り出した銀時に驚き「具合でも悪いのか?」と、お人よしを発揮するゴリラは無意識のまま誰も彼もを甘やかす術を心得ているも。これだから脳味噌ゴリラは困るんだ。お天とさんは爛々と輝いて、目の前にいる男もそんなお天とさんに負けないくらいに太陽が似合う・・・・・っていうか太陽を形にしたような男だから、二つの眩い光源に神経が焼ききれて頭がいかれちまいそうだと光を遮るように銀時は額を抑える。(いや、もういかれてる!だって!そうでもなければこんなゴリラに誰が好き好んで懸想なんてするかよ!)
眩い光は残光として瞼に刻まれ、それこそ寝ても覚めてもゴリラのことで馬鹿みたいに悩んでいる自分が阿呆くさくて泣きそうだっての 馬鹿野郎!
あんたがてらすもの(20100102)
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