「おんしの真っ直ぐすぎる瞳が 愛くるしい」 と。
初対面の男に声を掛けられ何事かと振り返ってみれば、逃げられぬようにガッシリと肩を掴まれたが否や冒頭の台詞で近藤の動きを封じる 手腕。たらしの名を欲しいままにする坂本の見事な先制攻撃にクリーンヒットを喰らった近藤は混乱のあまり現状の把握を破棄したばかりか、ゴリラのような大男を女性のように気遣う繊細な仕草にトキメキを覚えただただ固まることしか出来ない。そんな近藤の両隣にはいつもの如く瞳孔の開いた男と小生意気そうな青年が陣取ってはいるが、突然の出来事に思考が停止し傍観する以外の選択肢を持ち合わせていない二人をよそにこれでもかとたらしを発揮する坂本を助長させる結果となっているなどと!(あれ?なんか近くねぇか この距離。覗き込まれているだけならまだしも気のせいでなければ顔が徐々に近付いてくる・・ような。うわっ!サングラス越しだけど凄い男前な・・ってあれ?あれ?あれ?)もしかしたら自分は押しに弱いのかもしれない、と。現実逃避をしていた近藤は、動きばかりか唇さえも封じられ逃げ道を失い男の腕の中で乙女のように瞳を潤ませ赤面する 始末で。
嗚呼 哀しきかな!
王子様のキスにより覚醒した姫を慕う輩の殺気を全身で浴びながら、それでも笑顔を崩さない坂本の阿鼻叫喚の地獄絵図はすぐそこまでやってきている。





キスからはじまる恋をしよう(20100119)
*補足 / 桂や高杉から色々と聞かされる内に興味を覚えた坂本が近藤さんに逢いに行くそんな お話
(それで。近藤さんの瞳を見た瞬間に「嗚呼 なるほどな」と虜になってしまったとさ みたいな。坂本は人を見る目が優れているといいな)