夢を見ている。それは飢えの存在しない世界で静かに満たされていく夢であり高杉の願望でもあった。夢の中で高杉は何かを抱きしめている。腕の中でくすぐったそうに身体を捩る存在は抱き心地はいまいちではあるが、太陽を形にしたような眩い存在でありそれを一心に抱きとめることでかつて経験したこともないほどの倖福感に酔いしれるなんと甘美な それ。架空の世界で生きる自分は泣きたいほどの倖せを知り誰もが羨むほどの愛おしさに包まれていた。夢を見ていると自覚しているからこその甘さがそこにはあり、現実味を帯びない浮遊感さえ甘美なそれを夢として肯定することが出来るのだろうといつまで経っても倖福な眠りから覚める瞬間の虚無感に慣れない自分が高杉にとっては少しばかり 恨めしいのだ。





焦がれる太陽を恋しがる(20100126)