まるで 恋をしているようだ。近藤勲という男を前にする時、決まって高杉の心臓は膨れ上がり激しい鼓動と共にこれでもかと脳髄が砕かれる。理性を喪失した器は衝動のまま貪りつくすことのみに焦点が当てられ、二本しかない手と足では男を辱めるには不十分であり片方しか存在しない眼球と呼吸を吐き捨てることしか出来ぬ器官では男の全てを暴くには足りないものが多すぎると身も心もかつて経験したことのない深く薄暗き欲望へと染まるのだ。故に、次から次へと生まれる渇望は留まることを知らない。近藤に捕らわれ続ける高杉を形容する時、誰もが口を揃えてまるで恋をしているようだと囁く。お前の世界を自分色に染めて見せようと躍起になるその姿は愚かであり浅はかでありながら気高き獣のそれにも 似ている。
何を持って恋と叫ぶ(20100126)