獣は 鳴きたかった。 飢えていると啼き愛していると泣く。言葉を忘れた獣は泣くことでしか想いを伝える術を知らず、それ故に朝も昼も夜も意味を成さないことを理解しているからこそありとあらゆる感情を素直に吐露することが出来る。 例えば朝日を切り裂くような 咆哮。 例えば闇を慈しむような 遠吠え。 鳴き方は多種多様、その度に高杉と云う名の獣は様々な形の愛を愛すべきたった一人の男に捧げ続けるのだ。 そして また、一咆え。 あいしているよ もうもくてきにね(20100126)